Twitterが短絡的に炎上するの、わかる気がしてきた。
思いっきりけなす方が140文字以内で表現できて、手っ取り早い。
感情って、一言で表現できる。
「バカヤローッ殺されたいのか!?」
そして、怒りという感情の、鮮烈なこと。

『アウトレイジ 最終章』も、随所で怒りの感情が炸裂する。彼らにとっては怒りがご飯みたいなものだ。だから、ご飯を提供できない男は無能。ただ、一定限度を超えると指を詰めることになるので、さすがに好き好んで指を切りたいやつはいない。今回、また詰めるのかな? と思いながら見たけどそれはなかった。アウトレイジシリーズを見るのも三作目ともなると、だんだん要領がわかってきたというか、花田を見てて、「こいつ指詰めてもいいんじゃない?」なんてチラッと思いながら見てしまった。

全体に役者が、そして見ているこっちが高齢化しているので、怒りの感情もかつてほどの鋭さはなく鈍重だ。なんといっても西田敏行の鈍くてモタっとしたドスの利かせ方がすごかった。西田演じる西野は関西を代表する組、花菱会の幹部だ。幹部だが、会長と露骨に対立していて、ハラハラさせる。会長を怒らせるような態度とらなきゃいいのに西田演じる西野はそうじゃない。先代ならシャブを公認しなかったのに、金のためにシャブを否定しない今の会長の野村を苦々しく思っている。

「たまを取られる」危険があると分かっていても、怒らせないじゃいられない、その表現の鈍い凄みが連続的に描かれる。年をとっても滑舌がいいので、聞き取りやすい。表情も大事だが、やはりセリフ、言葉が怒りと、そこから続くアクションを動かしている。やくざの世界は、すぐに噂が伝わり、物語ができあがるので、まるで秀逸な語り部でもいるのかと思う。

花菱会は、なんとなく、今の日本を現していると思うのは牽強付会だろうか。スジが通っているなら、民主的ではなくてもそれなりに許せたものが、スジもへちまもなくなって、ただ汚い打算だらけになっている。

たけし演じる大友は結果的にそこらへんをまとめてやっつけてくれた形だけど、実のところ、どういう動機でそう動いたのか、わたしはあんまり分からなかった。舎弟の市川(大森南朋)は、アウトレイジ史上もっとも良い役だ。市川のような一息つかせてくれる役まわりの人間があらわれたのも、皆が年をとったからだろうか。

アウトレイジ最終章に続きはない。大友が死んでしまったから。大友が言い残した言葉が深く印象に残る。そして、深読みさせてしまう。このシリーズ、日本のザ・ヤクザ映画ということで完結してもよかったのに、日本のより本質である、隣の半島(と、小さな島)とのコネクションを押し出した内容になった。

アウトレイジ 最終章 OUTRAGE CODA 87本目 ←これ読んで知ったんだけど、中田役の塩見三省さん、脳出血からの復帰後だったようだ。( 塩見三省、4年ぶりに公の場 脳出血から復帰し『アウトレイジ』新作出演「最高の時間でした」) なんだか、異様な迫力のあった中田(塩見三省)。上記動画見ると西田さんの方も頸椎亜脱臼や胆嚢摘出術があって、二人ともリハビリをやりながらの、皆に抱えながらの撮影だったという。役者の人生と演技が渾然一体だった模様。

冒頭の軽トラが海へ向かうシーン。黒いベンツが街の灯りを反射してヌメヌメ光って進むシーン。Kポップかぶれ?の若い男が勝手に命を落とすシーンなど、映像的にも見所が多い。済州島にも行きたくなった。年、年連呼したが、大きなメッセージを感じる映画でもある。傑作。

 

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