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タグ: 漫画の感想

車いすバスケを描いた『リアル』by井上雄彦を読んだ

記事の分類:レビュウ日記

この著者、『スラムダンク』や『バカボンド』で有名な漫画家とのことだけど、わたしはあんまり漫画読まないんで知らんかった。

今回これを読んだきっかけは同僚と夜中に話していて、「君は『君の名は。』見た?」と聞いたら「まだなんだよなーこれからかなー」みたいな話になり、その同僚(男。40代)は「アニメはサマーウォーズが傑作。あれを越えてるとは思えない」と言いだした。

自慢じゃないけどわたしの知ってるアニメ、『君の名は。』と『この世界の片隅に』と『聲の形』しかない(見たのは「この世界‥」だけ)。ぜんぶ最近小耳に挟んだやつだ。

同僚君はその後もサマーウォーズについて説明してくれたため、わたしも「じゃ今度見てみるね」とか言って、その場でhuluで見れるかどうか調べた。ところが、

「あれーhuluではサマーウォーズやってないワ。あーあ」

となってしまった。というかhuluの場合そういうパターンが多い。その代わりってわけじゃないんだけども、『リアル』を貸してくれることになった(ぜんぜんジャンル違うわけだが)。ところが『リアル』、まだ完結していない。しかも年に一回のペースでしか作者が続きを描かない、という。うーーーん微妙。けど、同僚君にとって貸せるものの中での一押しは、『リアル』なのだった。

★ ☆★ ★★ ☆★ ★

最初3巻まで貸してくれたんで読んだら、ここまで直球で号泣させるかってくらいの剛球責めにあった。特に来たのは3巻の最後、高橋の父親が高橋の見舞いから戻っている。ろくろの茶碗がぐにゃぐにゃになってるところだ。つい数頁前まで粘土を端正な形に作っていたのに、今はもう手につかないのだろう。父として強く打ちのめされ、独りで泣いているシーンが来たなんてもんじゃなかった。

4巻以降も、『リアル』の中で一番好きな人物が高橋のお父さんなので、「もっと出てこないかな」と待ち遠しく思いながら読みすすめた。高橋久信の父は、元はエリートサラリーマンだったものの陶芸をやるためにドロップアウトした。その時、まだ小学生だった久信に黙って家を出て行ってしまった。そのため久信はもやもやした悲しみとか喪失感を抱えることになり、シニシズムというか、人をランク付けでしか考えられないような、貧しい精神の持ち主になってしまった。

そんなだから見舞いに来た父が、粗末な身なりの汚い男だったため(服に泥はついているわ、無精ヒゲだわ、素足に草履だわ)久信は思い切り見下すことになる。そしてここからが本当につらい心理の動きなのだけど、動けなくなった自分はその底辺よりももっと下じゃないかっていう、地獄のような自己認識。ここらの心の動き、激しいペンタッチとともに容赦なくえぐり出していく。

久信のねじれて荒んだこの心、どうなってしまうんだ? と読むのが止まらなかった。

打開してくれたのは、久信と同じ病室になった、自身も脊損で歩けなくなってしまったプロレスラーのスコーピオン白鳥で、無理矢理に出場した試合でのむちゃくちゃな活躍だ。久信のこと、下手すると、みょうな優しいあり得ない女性が現れて、懐柔して解決になりがちなところ、男の力業を見せつけるところに感心した。感心というか感動。人間のランクがどうのとか、そういうのを超えていくのが男の生き様だぜ、って思った。

で、実は打開してくれた人物がもうひとり居て、こちらはフィギュアとプロレスが大好きなオタク男の花咲 満。ここらへん、絶妙なバランス感覚つうか。スコーピオン白鳥だけだと剛力(ごうりき)の世界に行きすぎるところ、キモオタでへにゃへにゃ男の花咲との組み合わせも受け入れている久信が、心があったまるんだよねえ。

(ちなみに、同僚君はモロ花咲 満タイプ。「もうちょっとしっかりしなよー」とハラハラさせるタイプ。花咲よりはコザッパリしてるけど)

久信の父親にもっと登場してほしいけど、そんなでもう出番はないかな。長くテーマの一角を占めた高橋ファミリーの確執は、お母さんの突然の金髪化とピクニックをもって一段落ついた。(そうよ、お母さん、もっとはちゃめちゃになっていいのよ!!)

主役の少年について語る余力がなくなってしまったが、もちろん、彼の物語もすごいのである。

特に心に焼き付いたのは、「足がない、足が動かないというだけで、向こう側に行ってしまう」というつぶやきだ。あちらの世界と、こちらの世界で、別世界になってしまう。

障害者の世界と、非障害者の世界で、くっきりと別れて

今、単行本は14巻で止まっている。
描くのがほんとうに大変そうな漫画なので無理もないと思う。それはまるでスコーピオン白鳥が立てもしないのに試合に挑むみたいなもので。
筋ジスの山内 仁史も気になる。
筋ジストロフィーという難病について、普段考えることはないけど、この漫画によって正面からみつめることになった。世界のど真ん中にボンと居るって感じ。「20で死ぬ」と自分で言ってたのがもう20になってしまった。これから、どうなるのか?

そうそう、朋ちゃん(こわい顔の男。準主役級)もどうなるのか!!

リアル(ほんとの、現実の)の車椅子バスケットボールへのリンク集。

車椅子バスケのルールが2分ほどで説明されている。

JWBF | 一般社団法人 日本車椅子バスケットボール連盟

PLAYER | JWBF Natinal team全日本の選手たち

Paralympic Results & Historical Recordsリオ パラリンピックの結果(優勝はアメリカ)

Wheelchair Basketball at the Rio 2016 Paralympic Gamesで検索するとリオでのことが出てくる。

こうやってみると足に障害を負った人って随分大勢いるんだなと、今さらながらの感想をもった。
あと、パラリンピックにばかりこだわると、ランク付けしてばかりの発想と同じになってしまうなと思った。かといって、勝敗へのこだわりがなくなったらつまらないし‥‥ 難しい。

あと、パラリンピックの方がオリンピックよりも国境を超えていると思った。

それはあたかもピコ太郎が国境や言語を超えたツナガリを生み出せたことに似ている。

単なる強者はほんとうのツナガリを生み出せない。っていうか。

まとまりがないけども、いつかどこかへ続く。


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