
昨年から舞台の劇にはまったばかりなので、頓珍漢な感想の可能性あり。
宝島/青蛾館 のチラシ裏には、
海辺のさびれた宿屋の息子ジムはある日
謎の船長から「一本足の男に気をつけろ」と言われ
宝島の地図を受け取る。
その地図を狙う男たちの襲撃を受けるが
その危機を助けたのは一本足の男ジョン・シルバーだった
ジムはジョン・シルバーや仲間とともに宝探しに出発するが・・・寺山修司の戯曲を新たな形で上演し続けてきた青蛾館がナント!
大人も子どもも楽しめる【ネオアングラ】として『宝島』を上演します!
俳優、ダンサー、ミュージシャンと総勢28名の女性による男装音楽劇。
寺山修司没後35年に相応しい新たなテラヤマ演劇の誕生です!!
とあり、キーワードは「宝島」「ネオアングラ」「子どもも楽しめる」「男装音楽劇」「寺山修司」の五つだ。わたしは寺山修司という人をまったく知らないのだけど、アングラというイメージは確かにあった。その寺山修司がアングラでありつつ「子ども向け」の作品まで作っていたのは知らなかった。
自分にも心当たりがあるが、実は子どもはアングラが好きだ。けれど、時代の変遷によって、アングラを実際にやってしまうバカが多発したため(最近だと、Twitterで自殺志願者を集めて本当に殺してしまう、やってられないバカの出現。自殺志願者は自殺志願なのであって殺され志願ではない、と言いたい)、アングラからは距離をうんと取る必要が、特に子どもの場合出てきた。このことは、芸術を弱体化させる要因っぽいので、歓迎すべきではない。
事前に危惧されたのはそこらへんのことである。が、観たら、本作にはほとんどアングラ臭はなかった。
普通に、お子さんが観て、楽しめると思う。
アングラ(もしくは寺山修司)の骨子を現代に翻訳しなおし、「自分の宝をみつける/求める」というのがテーマかと。
ここで重要なのは、この宝が、「幸福の青い鳥」のように、「身近にあったのに気付かなかった、暮らしの中にある何か」となってしまっては、ダメなことだ。
もちろん本作の宝島は、そんなメッセージはみじんも発していない。
宝島の宝は、ものすごく光輝いているもの、ものすごく高貴なもの、ものすごく美しくきらめいているもの。
そういうものに、たぶん、きっと、違いないのだ。
東京芸術劇場のシアターウェストはとても小さい舞台なので、なんでも間近によく見える。長方形や台形や丸い板が、やたらと大活躍していて感心した。板が船になったり、ドクロになったりするのだ。舞台マジックというのか、セットがとても見事に七変化して、映写機?の効果とか、目を奪われる。
特に子どもが喜びそうだなと思ったのは、5人のオウムたちがオウム返しをしながら喋ったり踊るところ!! 動きがリズミカルで軽快で軽業師みたいで、楽しかった。女性ならではのかわいらしさも出ていて。音楽は「時々自動」 時々自動(@tokidokijido)さん | Twitter という集団がやっててアコーディオンとかなんだけど(実はあまり分かってない)、これがアングラの空気を感じさせて良かった。アングラはもっと復権しないといけない。(でもそれだとアンダーグラウンドではなくなるから、ダメなのかな…)
海の荒くれ男たちを女性だけで演じるのってどうなるのかと思ったけど、スティーブンソンの『宝島』だって主人公は少年(寺山修司はスティーブンソンの『宝島』をベースにこれを書いた)だし、少年と女性は姿も立場も似てるから、ぜんぜんOKだった。少年は、溌剌とした小柄な女性が演じていて、本当に生き生きとして楽しい演技。
この劇の目玉女優らしき立場の「宮下今日子」さんは、あんまり目立ってなかった。今調べたら『奥様は、取り扱い注意』に出ていた、あの悪い奥さんじゃん。悪い演技上手かったからな~ギャラたくさんあげてほしいくらい。それに比べると悪いインパクトは少なかった。たぶん、ドンと黒犬、二本指と考古学者が目立っていたから。女って男らしくてかっこいいなあと素直に思った。
観客のほとんどは大人だったけど、やはり子どもに見てほしい。
上演期間は2月3日から11日(日曜)まで。
あれだけ息の合った、スピーディーな展開って、相当に練習したと思われる。
なのに、たったの8日間しか上演しないなんて…
信じられないくらいもったない。
舞台って、そういうものなんだろう。
池袋の東京芸術劇場、とてもノンビリしたステキ空間。
待合空間の椅子に座って持参の食べ物をむしゃむしゃ食べるのもOK
当日券があるかもしれないので、子どもと一緒にGOだ。
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