厚労省がトンチンカンな法改正をしようとしている。ダメやーーん‼

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先週、えらい納得できないニュースが飛び込んだ。キーワードは #相模原障害者施設殺傷事件 #精神保健福祉法改正案 #措置入院 ということで、当方が知っている知識も使えそうなのでPOSTする。

ニュース自体はこれ→ 相模原殺傷事件受け 精神保健福祉法改正案が審議入り | NHKニュース

「改正案」に反対する人々の意見。当方も賛同→→ <措置入院改革> 精神保健福祉法、治安優先の改正に反対 – 福祉新聞 

日本精神神経学会 の意見→ 精神保健福祉法改正に関する学会見解事件の再発防止を目的として措置入院制度の改正を行うことに対してきわめて強い懸念を表明したもので、当然かと思う。

NHKがこれを受けて放映した回→→ 相模原事件を受けて 精神医療は今(1) 「措置入院」退院後の支援(ハートネット)

TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」がやったやつ→→ 「相模原障害者施設殺傷事件をきっかけに政府が上程した『精神保健福祉法改正案』〜その問題点とは?

他にもあるけど多すぎても大変なので、五つ。

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この法案、一言で言うと<一度でも措置入院になった者は永久に監視し続ける>というもの。

といっても「永久に監視する」とは言葉では言っていない。
退院後も地域福祉がフォローし、当人が引っ越す場合は引っ越し先の福祉に連絡して、引き続きフォローが途絶えないようにする、と言っている。塩崎大臣は「措置入院者が退院したあとに医療などの継続的な支援を確実に受けられる仕組みを整備する。退院後の支援は患者の孤独を防ぎ、結果として事件の再発防止にも資する」

と、一見とても親切そうなふりをして、はっきりと犯罪防止であると明言しているのだ。

 

せいしん医療って、防犯目的のものじゃないのだけど。現場感覚で言っても、せいしんを病んで通院or入院している人と犯罪を関連づけて考えること自体がものすごい失礼きわまりない話で。

上のハートネットに出てた人は、「精神障害者を犯罪者扱いするもの」と、とても静かに怒っていた。

しかもによれば、あの犯人の診断は「自己愛パーソナリティ障害」となったらしい。事件の責任能力もある、と判定されて実刑も受けることに決まっている。ってことは、もとから措置入院の対象であったかどうかすら、怪しい。さらに現在はせいしん疾患ではないと判断された。だったら措置入院の法律とこの犯人を結びつける発想自体が「ボタンを3,4個掛け違った状態」ってことになる。

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ところで「措置入院」のイメージはつかみづらい。
当方医者でもなんでもないけど、下っ端現場目線で、どんな感じのものか説明したい。違ってたらスミマセン。ちなみに細かい知識の半分はwikipediaから拝借した。

まず重要な一点は、措置入院が行われる単位は、都道府県ごと、もしくは 政令指定都市 ごと、という点。

都道府県もしくは政令都市、この場合、東京都を具体例としてあげると、東京都にはせいしん科の「基幹病院」が5つある。
→確か全部都立病院だと思ったけど、固有名は忘れた。

東京都内のどこかで、自傷他害行為(他、迷惑行為のひどいやつとか)を起こしている人が出現した場合、周囲の人(or本人)が110番すると思う。で、警察官が出てくる。そして、「これは拘置所対象というよりはせいしんじゃないか」と判断した時、5つの病院のどれかに連れて行く。

上記病院には、そのために待機している 精神保健指定医 がいる。ただし、その病院の医師とは限らない。他の病院勤務の医師が措置判定のために来ている。

警察官が連れてきたその人が、指定医2名以上の診察を受け、「精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認める」ことで一致すると、措置入院となる。

といっても、その病院に入院するわけではない。東京都内の「措置入院を受け入れます」と申請しているせいしん科病院の、その日の当番病院に運ばれる。そして、そこへ入院することになる。

この入院は、東京都知事の「権限と責任においての強制入院」、ということになるため、今だと小池百合子の名前が書類に書いてある。もちろん、だからといって小池百合子が病院に見舞いにくるわけではない。東京都知事小池百合子から預かった、という形になる。

(もしも、家族が暴れている息子を連れてきたみたいな場合で入院になるなら、それは家族同意の「医療保護入院」だ(本人が同意したら任意入院)。家族であっても、すでに犯罪レベルの暴力をふるっていたら警察介入かなぁ?

見たら有名新聞のコラムなのに、「医療保護入院」は自傷他害の怖れがあるわけじゃない、と勘違いしている記事があった。たぶんその人は「自傷他害の怖れ」=「措置入院」という図式なのかと思う。けど、自傷他害の怖れっていうのは、広く言えば誰にでもある。いつ、暴力をふるうかっていうのは、誰にもわからないものだ。だからといって、皆をせいしんに入院させるわけではない。「医療保護入院」の場合は、差し迫ってある(ないこともある)。あっても、本人が入院に同意しない場合には、家族の同意で入院になる。

けどこれも危なっかしくて、以前、家族の方がおかしくて、本人はおかしくないのに医療保護入院になってしまったケースを、聞いたことがある。)

 

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【問題点】
wikipediaが問題点としてあげていたのは
「「自傷他害の虞れがある」という文言を拡大解釈して犯罪の予防拘禁の代用としてこの制度が使われる危険性があり、罪刑法定主義の原則との兼ね合いが問題になる。」

↑↑ これも大きいんだろうけども、わたしが見た範囲だと「予防拘禁」的な人はほとんどいなかった(地方によって違いが大きいらしいが)(あとわたしの感性が鈍くて気づかないのかもしれないが)。あと、それを言うと拘束の数が増えているとの記事があったが、予防意識で増えているのかも?

それ以外だと、東京都内の広い範囲から連れてこられてしまうため、その人の住んでいる地域の福祉の人と連携しづらい。

あと、当番制ってくらいだから、ルーチンワーク化しやすい。

「今日は措置(当番)日だね」ってことで準備しておいて、来たらわーっと拘束したり。

措置判定されるほどと言ったら、それはもう本人にとって大変な精神的クライシス状況なわけで、ここでじっくり話をしたり、本人のメンタルに負荷をかけることはそれ以上しないとか、必要なことがあるはずだけど、できてる感じしない。

で措置入院経験のある人が体験を語っていた。「入院時の採血をしながら、告知をされた」とのことで、それがものすごい恐怖であった、と。これは本当にやりがちな事で、この番組をきっかけになくなるといいなと思った。

あと、大きいのは時間。とある病院の場合、措置入院に限らず、拘束やセデーション(鎮静のための注射)ではなく、患者とじっくりと話をしたり説得していって自傷や他害をしないような方向を探るとかしている。けど、それだといつまでたっても終わらないため「早く家に帰りたい。さっさと鎮静かけてくれ」と言い出すスタッフがいるとかいないとか。

自分のために時間をとってもらった(愛情と言い換えていいけど)という経験のない人がとても多いから、ある時、とてつもなく時間がかかる事態になることってあるんじゃないかと思ったり。その形の一つが措置入院じゃないかなと思ったりする。

職務的には、こういうことは時間がかかることなんだから、そのための時間を最初から確保した仕事の仕組みを作るとかあってもよさそう。今の勤務時間枠をもっと柔軟にするとか、時間をたくさんかけたあとは、休みを大目に取れるとか。もっと本質的な時間の使い方が出来るといいと思う。

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そんなで長くなった。けど、「これは確かなことです」とわたしが呈示できることはそんなに多くない。

だから、少しでも確かなものしようと、「これは絶対」というのものに、しがみつきたくなる。皆がそれをやると大変なことになる。たとえばルーチンワーク。「やるのが仕事」と思って、何も疑問を感じなくなる。

厚労省もそう。あの事件、犯人が措置入院になったのも、12日後に出てきたのも、正しいのかどうか、素人目には判断しにくい。ひょっとして専門家でも意見が分かれるのかもしれない。けど、あのままずっと入院してれば事件が起きなかった、というのは確かだ。だって入院しているんだから、起こしようがない。

BUT そういう次元の確かさに、しがみついたら、ダメなんだ。

(余談だけど、Googleの功罪も大きいと思う。なんでもかんでも実用性と有用性にしか意味を置かない検索結果しか出さない。多数の人間のサーチワードをそのまま予測(オートコンプリート)して出したり。数と金と実用性にしか価値を置かないGoogleのアルゴリズムが人の脳内まで支配しようとしている)(なので当方、 Googleマップのストリートビュー、覗き魔の変態技術ここに極まれリを削除する気にゼンゼンなれない。ストビュー、使うけどさ)

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