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『令和日本の敗戦 ──虚構の経済と蹂躙の政治を暴く』

この本の読書方法、冒頭を読んで、中間読んで、最後読んで、その後読み残しをちょこちょこ読んでといった、囓りかけのドーナッツが散らかるような、そんな読み方になっている。

そうでないと、一章一章が苦すぎて重すぎて潤いがなさすぎて喉に詰まってしまう。
冒頭からして、本当にやり切れない。長時間労働を強いられる運送をなりわいにする人の話だ。

社会保障は減らされ続け、実質賃金は減少し、多くの人が長時間労働を強いられ、しかし貯金もままならない生活の中で必死になって生きている

実質賃金の推移を先進諸国と比較しても完全に一人負けである。全労連が、世界的な統計データベースOECD.statから作成した資料によると、1997年を100とした指数で2016年は、日本は89.7と減少している。ちなみに米国は115.3、ドイツは116.3、イギリス125.3、フランスは126.4、オーストラリアは131.8と軒並み増加

なんで日本が89.7?? どうしてそうなる? これ、みんな安倍政権の責任。別に国民の自己責任でもなんでもない。

もうイヤになって最後の方を読んだわけだが、ここにもまた絶望感におそわれることが書いてあった。筆者氏への印税が減っても困るから、あまり肝心なことは引用/紹介したくないのだけど、ここだけの話しで許して貰おう。

せっかくリチウムイオン電池を日本人が開発し、AESCが量産化まで行ったのに、日本は原発にこだわったがゆえに、みすみす世界のトップランナーになれるチャンスを棒にふったのだ。(参照:ノーベル化学賞が「リチウムイオン電池の父」に授与されることの価値|WIRED.jp

AESCは結局、国の援助を受けられず、中国に売却された。(参照:日産とNEC、バッテリー事業を中国系再生エネ事業者に譲渡へ – ロイター

原発、つまり核は、原爆、原発事故と数回にわたって国民を傷つけたシロモノだ。国民のことを考えたら、前世紀の遺物として捨てるべきチャンスを逃してはならないものだ。しかもリチウム電池搭載の自動車産業、エネルギー産業と、産業構造の根幹をなす宝の山でもある。そのうえ、人類全体の未来に関わる一大事業であったのだ。

ここについて筆者氏は

「原発依存の継続は、米国が仕組んだ日本の『経済的武装解除』だったのではないか」

と、世にも怖ろしい推察を行っている。

わざと、ということだ。わざと、米国のために、国民が豊かになれるチャンスを棒にふった。そうして日本国民は、それも生まれながらに格差の下にいる人(低SES)を中心に、長時間労働を強いられ心身を削り、若者は希望をなくして死因第一位が自殺、というあり得ない国になってしまった。

クソ安倍とその仲間達死ねという思いが渦巻いてどうしようもないが、むりやり冷静になる。

本書の最後は、何人かの識者の意見を紹介する章となっているのだが、白井聡という人の意見には度肝を抜かれた。

詳しくは本書、もしくは白井氏の本を読んで貰いたいが、現在、日本にとっての天皇はアメリカなのである、という論。

ぶっちゃけここを読んで笑いがこみ上げてしまったくらい、滑稽な話ではある。「天皇がアメリカ? あははは」あははーーー

が、当方、自衛隊好きのダンナッチに連れられて自衛隊の広報館(みたいなところ)に行ったことがあるのだが、そこで流れていたセレモニーの動画が、米軍を讃えきったもので気味が悪くなったことがある。

案外、白井氏の言う通りなのかもしれない。
しかし、『天皇と東大』に書いてあったが、天皇主義者が現実の天皇自身をないがしろにするのは、今に始まったことではない。

彼らにとって大事なのは天皇システムを含む「国体」であって、現実の天皇ではないのである。

この「国体」について色々書いてあるようだから、白井氏の本は、間違いなく今読むべき本だと思う。

今のコロナ騒動も、日本の政府にとって大事なのが、国民の命や生活ではなく、国体なのがよく分かるだろう。「国民の生活についてなど考えたら共産党が感染る」という感覚でいるのだ。

この、明治以来続く、くっそくだらない国体信者の連中(のマインド)を、今度こそ根絶やしにしなくてならない。いかなる譲歩も相対化も曖昧さもなく、本気でそう思う。


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