レビュー2019

#いじめを生む教室 #いじめ #いじめ防止対策推進法 #教師の労働環境

いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識/荻上チキを読み終わりました。

いじめ問題について↓↓以下のように言う人がいて考えが止まってしまったことはないでしょうか?

  1. 自殺するくらいなら逃げろ(逃げさえすればそれで解決するんだ。早く逃げろ)
  2. いじめられる方にも原因がある(のだから、一概にいじめる方を責められないよね)
  3. いじめはなくならない(と脳科学的に決まっている。なくそうとする方が無駄)
  4. いじめは犯罪(なんだから早く警察に介入してもらって解決しろ)

どの言い草に対しても、荻上氏は本書の流れの中で答えを出してくれています。どんな言葉で乗り越えていくか自分で考えるのが一番ですが、ここを突破した先こそが大事なので、もう時間ももったいないし、書いてしまいましょう。

テレビのコメンテーターなどがよく発する「自殺するくらいなら逃げろ」
⇒小中学生の自殺者の数は何年も一定数できているのですが、不登校者は10万人を超えていて、増加し続けています。そして、不登校になった原因の50%以上がいじめ被害を含む人間関係なのです。つまり、すでに、もう逃げているのです。けれど、不登校になっている間の教育を受ける権利はどうなるのでしょうか?この空白期間をどうするのでしょうか?それを考えずに「逃げろ」は無責任すぎます。

これもよく聞く「いじめられる方にも原因がある」
⇒いじめられる方に、何らかの要因があることはあるかもしれません。しかしそれへの対処方法がいじめであることは間違っています。

「いじめはなくならない」は、本書をamazonで見ていたら類書ってことで隣にあった本のタイトル。
⇒いじめは起きたことが問題というよりも、その長期化、固定化、重大化が問題となります。発生することがなくならないのは確かにそうでしょう。けれど、発生自体よりもいじめをエスカレートさせないこと、子どもの「教育を受ける権利」を守ること、ここが大事なのです。

いじめは犯罪
⇒「無視」や「仲間はずれ」は犯罪としての要件を満たしません。物を隠す、嫌なあだ名を付ける、嫌な噂を流すなども。事件となるほどの暴力系のいじめばかりを前提に考えては解決から遠くなるばかりです。

☆ ☆ ☆ ☆

いかがでしたでしょうか?
他にも「ネットいじめは特殊」という思い込みもあります。(⇒決して特殊ではなく、リアルでもいじめを受けている子どもがターゲットになっている)

あるいは「放っておいても子ども同士で解決する」もしくは「被害者の子どもが自分で解決する」というやつもあります。
(⇒コミュニケーション操作系のいじめは、教室環境全体を変質させているため、子ども個人ではどうにもならない。必ず教師の介入が必要)

この事が直接に仕事である人は学校の先生です。先生に読んでほしいのがこの本です。

おりしも、神戸市の小学校で教師集団による教師への深刻ないじめが発覚、報道され、強いインパクトを与えているところです。

この事件についてこのサイトで見たところ、下の方に「加害者教員4人の情報」というのがあり、

加害者の男性教諭は頼りがいがあり、人気者という評判
いじめ対応委員会のメンバー
いじめの相談窓口を担当していた

‥‥‥‥
‥‥

(ノ゚⊿゚)ノ ○o。。。○o。。

いやもうあきれ果て果て果てます。

けれど、教諭のみなさん。

本書、先生に人格者であることや、人気者であること、頼りがいのある先生であること、話のわかる優しい先生であること、ドラマみたいに熱血漢であることを推奨する本ではありません。

そんなのを理想と勘違いしていては、反動で上のような同僚イジメに走る可能性大です。

ドラマじゃない普通の人間としての先生が、いじめにどう対応すれば良いのか、そのノウハウをテクニカルに解説している本なのです。

だからといって、簡単ですよとは、言えません。
セーフとアウトの線引きひとつとっても、どこの現場でも起きていることでしょうが、「これくらいはいいんじゃないか」と緩くする力学が働くことはあると思います。ことに教室で子ども達が楽しそうに「いじり」などしている時、水をさしたくなくて、一緒に参加してしまうとか。

常に「される方の立場にたつ」ことが先生には大事。いじりやいじめよりももっと楽しいことは他にあるのです。

☆ ☆ ☆ ☆

さらには、教師の仕事量の多さ、労働環境の悪さにも大きく章をさいています。

これ、データにもきちんと出ていて、先生の出勤時間、退勤時間、睡眠時間の推移がグラフになっています。明らかに先生は追い詰められています。睡眠時間など、ここ数年は5時間台です。ありえません。こんなのを許していいのでしょうか

なんでこうなってしまうのか? この根本原因も考える必要があるでしょう。