🌏地球を敵にまわさないために

📺NetFlixで環境問題ドキュメンタリーの『地球の限界: “私たちの地球”の科学』(2021年4月公開)を観たので、そこで得た知識をご来訪の方と分かち合いたいと思います。「そんな話しは聞きたくない!」という方、当方も「そんな話し、UPしたくない!」のですが、UPしないと自分のメンタルがつらいのでお付き合いください。(このドキュメンタリー、希望はまだある、と最後には出てくる内容となってます)

✨大枠の説明を先にします

「地球を安定させている要因」は9つある、と彼らは言います。

気温、生物群系、生物多様性、淡水、養分、海の酸性化、エアロゾル、オゾン、新規化学物質

です

📝※「気温」は「気候変動」(CLIMATE CHANGE)が正式ですが、本ドキュメンタリーでは気温という言葉が使われていました。

9つの項目がどの状態にあるのかを伝えるのが主要なテーマです。状態は三段階に別けられます。「安全」「注意」「危険」の3つです。

注意を超えて危険域となる数値は「転換点」「限界値」とも言われます。これがプラネタリーバウンダリー(地球の限界)です。転換点は大きなキーワードです。

※全部の項目が段階を定義できてるわけではないです

✨大枠その2:登場する人とリンク

デヴィッド・アッテンポロー:番組のナレーター兼ナビゲーター

ヨハン・ロックストローム (@jrockstrom ) 地球規模の持続可能性に関する分野の科学者。世界中の科学者と連携し研究をすすめる。

ロックストローム氏の他、何人かの科学者が登場。

番組の説明ページ

Planetary boundaries – Stockholm Resilience Centre プラネタリーバウンダリーのオフィシャルサイト


🌦️ということで始めます。1番目は気温(気候)です

氷床コアってのがありまして、これが気温についてのものすごい情報源となってます。詳しくは⇒地球環境研究センター、もしくは⇒南極氷床コア(東大)を補足として見て頂くと俄然興味が盛り上がると思います。(無理なら見なくて大丈夫🙂)

氷床コアの解析から、今の人類が現れた10万年前から現在までの気温の変化がわかりました。

10万年前から1万年前までは10年間で10℃以上変動するという大変に鬼な時代でした。しかしここ1万年間の平均気温の変動はプラスマイナス 1 ℃でした。この時期は完新世と呼ばれます。気候が安定したこの時期に各大陸で文明が同時に発展しました。

しかし完新世は終了しました。人間の活動による負荷が気候を変えたのです。たった50年間で気温を1℃以上上げ、1万年間変わらなかった地球を変えてしまいました。


気温(気候)のキーワードは氷床 です。具体的には南極とグリーンランド(北極) の氷のかたまり。ヨハン氏は言います。

”北極と南極は常に氷におおわれている必要がある。
それでこそ地球が安定して人間の文明が発展できたのです”

その意味するところを簡単な絵と文で説明します。👇

南極、グリーンランドの氷床 が太陽光を90~95%はねかえしています

近年、猛烈な勢いで氷床が溶け出しています

氷床が溶けると、海面が上がるだけではなく、真っ白い表面が汚れてきます

色が付いてくると太陽光の反射が減ります

そればかりか、今度は太陽光を吸収し始めるのです。この時、地球を冷やしていたはずの氷床が、地球を温めはじめます

これが起きた時、地球システムの「転換点」となり、引き返すことのできない変化が起きるでしょう

”転換点を通り過ぎると後戻りできない。もはや地球は元に戻せなくなって、転がり落ちるように状態が変わり、人間が住めなくなります。”

“今まで地球は親友でした。潤いを与え、ストレスを軽減させ、二酸化炭素を吸い、熱を取り除き、負荷を吸収してくれた。

転換点を迎えると地球は、熱を増幅する敵になります。”

補足:Google-earthで見る

日本極地研究振興会のデジタル地球儀(Google-earth)。グリーンランドが見れます 温暖化の影響が真っ先に北極圏に及んでいることも書かれています

補足:氷が太陽を反射することについて

地球の気候における海氷の役割(北海道大学) 👈図解入りで分かりやすい。地球によって反射される太陽エネルギーの割合を「アルベド」といい、アルベドを高く保たないと大変なことになるのがよく分かります。

補足:📰先月のニュース

世界的熱波の原因は、南極で起きている「270万年に1度」の超特異現象? 今年7月27日ニューズウィークの記事 以下👇概略

このタイトルは「釣り」の「逆」で、モロに書くと不安をあおるため、あたかも地球の自然現象(氷河期のような)であるような印象をパッと見与えているのだと思います。しかし、読むとぜんぜん違ってました💦💦💦

もとは、引退した数学とコンピューター科学の教授であるエリオット・ジェイコブソンが、日本の国立極地研究所のデータを基に、南極の海氷面積がありえないレベルまで減少していることをチャートにしツイートしました。

このありえなさを、750万年に一度だ、いやさ270万年に一度だ、と計算し合った相手は気候ジャーナリストのジョン・ギボンズでした。

実際、メーン大学気候変動研究所は7月19日、南極の海氷面積が昨年同時期に比べ約200万平方キロ縮小しているという分析結果を気候データサイト「クライメート・リアナライザー」で発表しました。

「ここ数年、南極周辺の海氷面積は急激に縮小している。南極では今まで、これほど急速な海氷の減少が観測されたことはなかった」と、気候科学者・プレゼンターのエラ・ギルバートはこの発表を受けてニューズウィークに語ったそうです。

また、NASAによると、南極大陸の氷床は年間約1500億トンのペースで融解していると。

オーストラリア南極観測局で海氷の調査を行なっている海氷科学者のペトラ・ハイルは、「海氷に影響を与える海洋の温暖化と大気の激しい撹乱はおおむね人為的な要因によるものだ。今ではそれを認めない専門家はまずいない」

さらに、「これまでとは異なる状況になるだろう」と予測。「人間が地球上でこれまでのような生活を続けられる保証はない」と。

ハイル氏に限らず多くの科学者が、すでに地球は引き返せない転換点を過ぎた、と見ている。

😑ここまでの自分の感想

「転換点」を過ぎたのかどうか、ヨハン・ロックストローム氏がどう言ってるのかは、まだ調べてない。

まだ希望はあると、言ってくれるんだろうか。

ちなみに、転換点の定義はそうそう簡単ではない様子だった。

この前、認知症の患者サンがウロウロしているからどうしたのか聞くと、スに戻ったかのように「首をくくる場所を探しているんだ」と言う。わたしは心底ゾッとした。もちろん患者氏は気候のことも地球のことも考えてない(たぶん)。にも関わらず、そのセリフとこの状況が変に共鳴してしまった。

人間達は、強大な敵となった地球に蒸し焼きにされるよりも、楽に死ねる場所を探しはじめるのじゃないか?

そんな想像が浮かんだのだ。いやいや、死に場所を探すくらいなら、他にやれることはないのか。今年はなお一層、誰も気候危機の話しをしなくなった印象だ。ラジオやテレビならときどき視聴しているのに。「パニックにさせない」とか、何かそんな理由の自粛だろうか。それとも本当に無知なのだろうか。

今年11月にCOP28がある。そこで、ヨハン氏が言ってたように、「気候問題」ではなく、差し迫った「安全保障」として話し合い、何事かを決定してほしい!!

現状、当方にはそれくらいしか浮かばない。

この続きを書けたら書こうと思う。まだ地球は敵じゃないと思えているうちに。

🧙科学が何でも解決してくれるってワケにはなかなかいかなさそうだ。

昨日、一応作ってみたスレッズで、「LK-99はうそ」といった投稿を見かけた。なんでも科学界およびその周辺のSNSはこの話題で沸騰していたらしい。←これ、日本の、という意味ではなく世界中の。

科学と無縁がデフォのわたしはもちろん「LK-99」なんて完全初耳だった。ヨーグルトの中に入ってる善玉菌みたいな名前のこれ、「常温常圧の超伝導体」という触れ込みだったけど実は違うと証明されてすべりまくった韓国発祥の発明。らしいのだ。

2023年8月18日の0:07の「LK-99」での検索結果

上のとは他に、スレッズからリンクされていた、サイエンティフィックアメリカンの記事が、より生々しく刺さった。👇これ

「超電導センセーションは消え去ったが、それは問題ない~
LK-99 の隆盛と衰退は、緊急に必要とされるエネルギー転換におけるテクノロジーの役割を考える方法についての教訓を与えてくれます。~」

一部引用してみる。

多くのインターネット投稿者は、一部の研究者やジャーナリストとともに、室温超伝導体を、化石燃料への依存からの世界の移行を加速する可能性がある気候変動に対する技術的万能薬として位置づけています。

地球上で最も暑い月のすぐ後に有史以来、人々が明るいニュースや進歩の兆しを熱望する理由は簡単に理解できます。結局のところ、完璧な材料があれば、電気は完璧な効率で送電線に沿って流れることができるのですが、それは潜在的に革命的な用途の始まりにすぎません。オックスフォード大学の超伝導体を専門とする材料科学者スージー・スペラー氏は、原理的には室温超伝導体は、建設が容易で資源消費量が少ない、よりコンパクトな風力タービンにつながる可能性があると述べている。コンピューターから電気自動車に至るまでの電子機器がすべて理想的な超電導物質を含んでいる場合、必要な電力ははるかに少なくなります。仮説の世界のさらに奥深くでは、適切な超電導体があれば、スケーラブルな核融合炉がカーボンフリーのエネルギー源を豊富に提供できるようになる可能性がある、とスペラー氏は言う。

たとえLK-99が室温の超伝導体であることが証明されたとしても、エネルギーと気候に関する懸念に対処するための実現可能性は、遠い「if」という非常に薄っぺらな基盤に依存することになるだろう。LK-99 が超電導体であれ、大電流に耐えることができれば、線状に成形するには脆すぎず、合成が簡単で安価であれば、製造用の材料が容易に入手でき、政策があればそれに続いて資金も投入されれば、10年以上後にはエネルギー効率が少し向上するかもしれない要するに、米国が特に切望していると思われる迅速な気候変動対策からはほど遠いだろう。

引用元サイエンティフィックアメリカン

不完全な日本語訳だが意味は通じる。いつまでたっても日本も世界も石炭火力ひとつやめられないでいる。その間、どんどんCO2が排出される。「地球上で最も暑い月」とは先月(2023年7月)のことだ。だんだん焦りが募り、メンタルにも良くない。そこへこのLK-99の話しが飛びこんだのだから、話題沸騰するのも無理はないのだ。

ふーー。落ち着こう。