MUCCの新世界

今月に入って「ムック、今頃どうしてるのかな」と気になって調べた。わたしが最初にムックについて書いたのは2008年なのでもう17年も経つ。せいしんか病棟に入院中のユマちゃんのベッドに散らかっていたのがムックのCDジャケットだ。ユマちゃんの方はもうとっくに退院してしまったので、今どうしているかはわからない。家で暮らせているといいなぁと願うけれど。

一方、せいしんか病棟は17年で様変わりした。統合失調症の典型的な人が少なくなった代わりに、家庭内虐待被害者の少年、少女が体中を傷跡だらけにして、死にたい死にたいと言いながら日々を過ごしている。ユマちゃんも自傷していたけれど今の少女たちに比べると控え目な傷だった。そんな彼女たちのベッドにもうCDは散らかっていない。彼女たちはスマホを呪物のように握りしめて離さないから音楽を聴いているとしたらその中から響いている。

まぁスマホを常時持っているのはみんなそうだろう。ちなみにわたしはジェミニにムックの動向を聞いた。最近のジェミニッコ(とわたしは呼んでいる。たまにジェミニヤロー)は進化が激しくて、何を聞いてもすさまじく的を得た、期待以上の答えを出す。下は「MUCCのデビューから現在に至る軌跡を図解して」と頼んだら出してきた。

【黎明期:密室と昭和の闇】
  1997年 ~ 2002年
  │
  ├─ 🌑 インディーズ時代
  │     テーマ:「痛み」「絶望」「昭和歌謡」「初期衝動」
  │     代表作:『痛絶』『葬ラ謳』
  │     特徴:裸足、白塗り、重苦しいグランジサウンド。
  │
  ▼
【メジャー進出・深化期】
  2003年 ~ 2005年
  │
  ├─ 💿 メジャーデビュー(ユニバーサル)
  │     テーマ:「69」「叙情性」
  │     代表作:『是空』『朽木の灯』
  │     ★転換点:『鵬翼』
  │     特徴:初期のヘヴィさに加え、フォークや民族音楽を取り入れ、
  │           「歌」を聴かせるバンドへ進化。
  │
  ▼
【極彩・世界進出期】
  2006年 ~ 2009年
  │
  ├─ 🌏 グローバル&ポップ
  │     テーマ:「多様性」「開放」
  │     代表作:『極彩』『志恩』『球体』
  │     特徴:海外ツアー(Taste of Chaos)に参加。
  │           ラテン、ディスコ、打ち込みなどを貪欲に取り込む。
  │           「暗いだけじゃないMUCC」の確立。
  │
  ▼
【ダンスロック・融合期】
  2010年 ~ 2016年
  │
  ├─ 💃 EDM × ロック(ソニー移籍)
  │     テーマ:「踊れるロック」「化学反応」
  │     代表作:『カルマ』『シャングリラ』
  │     特徴:Ken(L'Arc〜en〜Ciel)プロデュースなどを経て、
  │           ダンスミュージックとヘヴィロックを融合。
  │
  ▼
【集大成・原点回帰期】
  2017年 ~ 2020年
  │
  ├─ 🔄 20周年・ミクスチャー
  │     テーマ:「MUCCの全て」「生き様」
  │     代表作:『脈拍』『壊れたピアノとリビングデッド』
  │     特徴:これまでの全ての要素(歌謡、メタル、ダンス)を
  │           高レベルでミックス。初期の「ホラー感」も復活。
  │
  ▼
【新体制・Rebirth期】
  2021年 ~ 現在
  │
  ├─ 🆕 3ピースバンドへ
  │     出来事:ドラムSATOchi脱退(2021)
  │     テーマ:「Timeless」「現在進行形」
  │     代表作:『新世界』『Timeless』シリーズ
  │     特徴:サポートドラムを迎え、より自由で大人のロックへ。
  │           過去の楽曲を現在のスキルで再構築する試みも。

ジェミニヤロー間違ったことをシレっと出す時あるから注意だけど、とりあえず参考になる。そんなでわたしは『新世界』を聴いた。もちろん、というか何故かCDで。せっかくだから感想を書いていこう。ジェミニヤローが出しゃばってああだこうだと絶賛してくるけれど(こいつは何でも世界最高峰みたいな褒め方する)、自分の耳で聴くのが一番だ。

1. 新世界
2. 星に願いを
3. 懺把乱
4. GONER
5. パーフェクトサークル
6. HACK
7. NEED
8. 未来
9. R&R darling
10. COLOR
11. Paralysis
12. 零
13. いきとし
14. WORLD
15. [BLANK] 16. [Secret Track]

さて、円盤を回す。

一曲目:息が‥息がかかってくるー息で酔わせる気かー

2曲目星に願いを:いやーこうでなきゃいかんよ、と思わせる圧の強いドラムの音と狂った男。壊れそうだ??いやもうぶっ壊れているって!! 好きな曲が早くもきちゃった!

3曲目懺把乱(ざんばら):このスピード感好きだわ。戦国時代の首を斬られた侍

4曲目GONER:この曲完璧じゃん?!完熟の域でもうムックさんやることなくなっちゃった。灰色の虹っていいフレーズ気に入りすぎる。これ、酔っ払って書いてるわけじゃない、しらふもしらふ。ノンアルすら飲んでない

5曲目パーフェクトサークル:出たねサブスクふざけるな発言 こういうリアルなやつはケムに巻くようなひねったロックできたぜ

6曲目HACK これが負け犬のハックとばかりに良い曲。「だらだらかうんとだうん」と歌っている時の声が良い。推す。これはほんとにダンサブル。いつのまにか憑かれたように踊っていること請け合い
証拠写真 ↓

びっくりしているうちの猫
当方の踊りを見て「どうした?」とびっくりしているうちの猫

7曲目NEED:この曲なんかT. Rex – Metal Guruに部分的に似てない? ←いい意味

8曲目未来:なんかさ、ここでいう未来ってうんと過去、胎内のことなんじゃない?ホッとする暗さ。

9曲目R&R darling:気分が変わった。悲しくて悲しくて泣いていたのに。

10曲目COLOR:いい曲。外部との接続がある感じが良いですな。

この歌詞を翻訳しました
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11曲目Paralysis:いいなあ普通にロックバンドのサウンドの重なり。バランスもいいしな。当方、ボカロみたいな昨今の流行りの音が苦手だから、こういうのが心が落ち着く

12曲目零:速い速い何かと競争しているのか? Paralysisより巻きが入った みんなの楽器演奏(というんだっけ)の実力が爆発だ。ボーカルの人、ほんとうに歌うまいな。圧巻。

13曲目いきとし:悲しい

14曲WORLD:WORLDといえばWe are the WORLDだけれどあの盛り上がりは何だったんだと考えると虚しくなる時ある。でも、虚しさにだけは負けたくない‥

15曲目[BLANK] なんかやってるんじゃないかと思って入手したCD。やっぱやってた笑 9分59秒の無音って !! これ聴いてたら仏門に入れそう

16曲目[シークレットトラック]よほど終わりたくないのかな?