オリバーな犬には、赤いドアを開いて異世界に飛び込む場面が繰り返される。
中でも、如月県の伝説のハンドラー羽衣弥生(深津絵里)が『色彩のブルース』を歌っている異世界は意味深だ。
深津さんの『色彩のブルース』は本当に見事なので、それを聞くためだけにまた映画館に足を運んでも良いほど。
さて、色彩に興味があるので本稿の執筆にとりかかっている。
歌詞をここに書き出すわけにいかないので(著作権上の禁止行為)直接本題に入る。
『色彩のブルース』で色彩として明言されるのは以下の四つ。
オレンジ色
モノクローム
あかりの色
ブルー(ス)
はっきりそうと歌わないが色を連想させるのは、鉛(色)の指、裏通りの風景画(の色)だ。
ちなみに色の他に五感を揺らすものとして登場するのは「光の渦」(→光)、「デジャブの香り」(→香り)、「熱いメロディー」(→熱)、「リズム」「メロディー」(→音)
などである。光や熱がどうした、って思われそうなので説明しよう。
当方、両親の仏壇に手を合わせることがよくある。いわば異界といえるどこかへ行った両親に会ってあれこれしゃべるためだ。その際に使うのが、蝋燭の火(熱)(光)、お線香(香り)、おりん(音)、器に一杯の水。
『色彩のブルース』と、なんだか似ている。
オリバーな犬では異界への扉(いびつな赤いドア)はそこかしこにある。『色彩のブルース』の場合、たぶんにアルコールの力を借りてだけれど異界に行くような歌。けれど、案外と色自体は出てこなかった。
オレンジ色とモノクロームとあかりの色とブルー(ス)なら、ほぼオレンジ色しか出てこないと言っても過言ではない。比較して、仏壇に色彩は必須でなかったことを思うと、ここで言う「色彩」は生きる、ということの暗喩、と考えてもよかろうと、勝手に思った。




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